SEO記事を作るとき、「何文字書けばよいか」は最初に聞かれることの多い問いである。発注の場面でも、社内で企画を立てるときでも、文字数が決まれば進めやすいという事情は理解できる。しかし、結論から書けば、すべての記事に共通する適正な文字数は存在しない。決めるべきは文字数そのものではなく、その記事がどの検索意図に、どこまで答えるかである。必要な情報量が決まれば、文字数は結果として決まる。

本記事では、Google検索セントラルの公式ドキュメントに文字数について実際に書かれていることを確認し、次に、検索意図から情報量を逆算する手順、競合記事の分量を測る意味と限界、文字数を編集の指標として使う方法、発注時に文字数指定が独り歩きする問題を整理する。

Googleの公式ドキュメントに書かれていること

文字数をめぐる議論では、Googleの見解とされる説明がさまざまに引用される。ここでは、担当者の発言ではなく、Google検索セントラルの公式ドキュメントに書かれている内容に限って確認する。

スターターガイド:魔法の文字数も、最小や最大も存在しない

Google検索セントラルの「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」は、「Googleが重要でないと考えること」の中で、コンテンツの最小長と最大長を取り上げている。そこでは、上位に表示させるという目的に関しては、コンテンツの長さだけを調節しても無意味であり、魔法の文字数も、最小や最大の文字数も存在しない、と書かれている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。

この記述が示すのは、長さだけを操作しても目的にはつながらないということである。裏を返せば、一定の文字数に達したかどうかで記事の良し悪しを判定する根拠は、このドキュメントには示されていない。

有用なコンテンツのドキュメント:優先する文字数は存在しない

もう1つが、「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」である。同ドキュメントは、検索エンジンを第一に考えた作り方をしていないかを自問する項目の1つとして、「Googleが優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか」という問いを挙げ、括弧書きで「そのような設定は存在しません」と明記している(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。

同ドキュメントが代わりに重視するのは、読み終わったユーザーが、目的を果たすのに十分な情報を得たと感じられるかどうかであり、コンテンツが独自の情報や分析を提供しているか、トピックに対して実質的な内容を伴う詳細または包括的な説明が記載されているか、といった点である(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。評価の物差しとして示されているのは文字数の多寡ではなく、目的に対して情報が足りているかである。

注意しておきたいのは、以上の2つのドキュメントが「文字数は一切関係しない」とまで書いているわけではない、ということである。書かれているのは、優先される文字数の設定はないことと、長さだけを調節しても上位表示の目的にはつながらないことである。それ以上の断定は、ドキュメントの記述を超えるため、本記事では行わない。

文字数は目標ではなく、情報量の結果である

公式ドキュメントの記述を実務に置き換えると、文字数の位置づけは次のようになる。文字数は、最初に設定する目標ではなく、書くべき内容が決まった後に現れる結果である。

理由は単純である。同じ文字数でも中身はまったく異なりうるためである。読者の疑問に直接答える文章だけで構成された記事と、一般論の繰り返しで文字数を満たした記事では、文字数が同じでも価値は異なる。逆に、疑問が1つで答えが明確なテーマであれば、短い記事でも目的は果たせる。文字数を先に固定すると、書く側の注意が「何を答えるか」から「あと何文字必要か」へ移りやすい。

では、何を先に決めるのか。決めるのは、検索意図と、答え切るのに必要な情報の範囲である。検索意図とは、その言葉で検索する人が何を知りたくて、何を判断したくて検索しているのかという目的のことである。記事の役割は、その目的に対して不足のない情報を、過不足のない順序で提供することに置く。文字数は、その設計が本文になったときの量として後から測るものである。

ただし、結果であることは、文字数をまったく見なくてよいという意味ではない。後述するように、書き上がった段階で抜けや冗長さを確認する編集の指標としては、文字数は有用である。目標として使うことと、点検の材料として使うことは分けて考える必要がある。

必要な情報量は、検索意図から逆算して決める

情報量を感覚で決めないためには、手順を分けることが有効である。代表的な進め方は次の4段階である。

1. 検索する人の疑問を分解する

最初に、対象とする検索語で検索する人が抱えている疑問を、具体的な問いの形で書き出す。たとえば費用を知りたい検索であれば、総額の内訳、金額が変わる条件、見積もりで確認すべき項目などが下位の疑問になる。手順を知りたい検索であれば、順序、必要なもの、つまずきやすい点、所要の目安などが下位の疑問になる。この分解が粗いと、記事の範囲も曖昧になる。

2. 各疑問に、答える根拠があるかを確認する

次に、書き出した疑問のそれぞれについて、自社が根拠を持って答えられるかを確認する。一次情報、実務で蓄積した知見、公表されている公式情報など、裏付けの出所が示せる疑問は記事の中心に置ける。反対に、根拠を用意できない疑問は、無理に断定して書くのではなく、範囲を限定して書くか、扱わない判断をする。答えられない部分まで含めて範囲を広げると、記事は長くなるが、中身の確かさは下がる。

3. 必須の論点と、任意の論点を分ける

疑問と根拠がそろったら、論点を必須と任意に分ける。必須は、それが欠けると読者の目的が果たせない論点である。任意は、あると理解が深まるが、欠けても目的の達成を妨げない論点である。分量の調整は、この段階で行う。文字数を削る必要がある場合は文章を薄くするのではなく任意の論点から外し、増やす必要がある場合は言い回しを足すのではなく必須に近い論点が抜けていないかを確認する。

4. 構成を作り、その時点で初めて分量を見積もる

論点が固まったら、見出しの構成を作る。各見出しで扱う論点と、その説明に必要な要素が決まれば、おおよその分量は見積もれる。この見積もりは、制作時間や費用の見通しを立てるための作業量の目安であり、上位表示のための条件ではない。位置づけをそのように明示しておくことが、後の工程で文字数が独り歩きすることを防ぐ。

短くてよい記事と、長くなる記事の違い

必要な情報量はテーマによって異なるため、適正な分量も記事ごとに異なる。違いを生むのは、主に疑問の数と、判断に必要な条件の多さである。

記事の型(例)分量の傾向理由
1つの明確な疑問に答える記事短くなりやすい答えが定まっており、条件分岐が少ない。補足を足しすぎると、かえって答えにたどり着くまでの距離が長くなる
手順を説明する記事中程度になりやすい工程の数と、各工程での注意点の分だけ説明が必要になる。工程が多ければ、その分長くなる
選択肢を比較し、判断材料を示す記事長くなりやすい選択肢ごとの違い、向いている条件、判断の観点を並べる必要があり、扱う論点が増える
費用や制度など、条件で結論が変わる記事長くなりやすい条件ごとに結論が異なるため、前提、例外、確認先を分けて書く必要がある。条件を省略すると誤解を招く

表は型ごとの傾向を示したものであり、型ごとに標準の文字数があるという意味ではない。同じ型でも、対象範囲をどこまでにするかで分量は変わる。たとえば手順の記事でも、初心者向けに前提知識から説明する場合と、経験者向けに要点だけを示す場合では、必要な情報量が異なる。読者を誰に置くかも、分量を決める条件の1つである。

短い記事で注意したいのは、短さ自体が問題なのではなく、必須の論点が欠けていないかである。長い記事で注意したいのは、長さ自体が問題なのではなく、同じ説明の繰り返しや、検索意図から外れた話題で膨らんでいないかである。点検の観点は分量ではなく、中身の対応関係に置く。

競合記事の文字数を測る意味と限界

実務では、検索結果の上位に表示されている競合記事の文字数を調べることがよく行われる。この作業には意味があるが、使い方を誤ると、競合の分量を写すことが目的になってしまう。

測ることで分かること

競合の分量は、その検索語で読者が期待している情報の範囲を知る手がかりになる。上位の記事に共通して一定の分量がある場合、そのテーマでは説明すべき論点が多い可能性がある。また、競合記事の見出し構成と分量をあわせて見ると、どの論点にどれだけの説明が割かれているかが分かり、自社の構成で不足しそうな論点を洗い出す材料になる。分量は、競合が答えている範囲を推し量る目安として使う分には有用である。

測ることの限界

一方で、限界も明確である。第1に、数え方によって数字は変わる。本文だけを数えたのか、見出しや表の中身まで含めたのか、空白を含めるのかで、同じ記事でも文字数は異なる。他社の調査値と自社の計測値をそのまま比べることはできない。第2に、競合の分量は、その記事がその分量である理由までは教えてくれない。手厚く説明している結果として長いのか、冗長なために長いのかは、本文を読まなければ分からない。第3に、分量と順位の間に見える関係は、そのまま因果関係を意味しない。上位の記事が長い傾向が見えたとしても、長くすれば同様の結果になるとは限らない。背景には、論点の網羅、情報の確かさ、サイト全体の評価など、文字数以外の要素が関係しうるためである。

実務での使い方

したがって、競合調査では文字数だけを記録するのではなく、見出し構成、扱っている論点、根拠の示し方をあわせて記録する。そのうえで、自社の記事で扱う論点は検索意図と自社の根拠から決め、分量は競合の範囲感と大きく離れていないかを確認する程度に使う。競合より極端に短い場合は論点の抜けを疑い、極端に長い場合は意図から外れた論点が混ざっていないかを疑う。分量は答えではなく、点検を開始する合図として扱うのが適切である。

文字数を編集の指標として使う

書き上がった後の編集段階では、文字数は抜けと冗長さを見る指標として使える。使い方には2つの向きがある。

1つは、構成で予定した論点に対して本文が短すぎる場合である。この場合、論点自体が書かれていないか、書かれていても根拠や条件の説明が不足している可能性がある。見出しごとに本文を読み直し、必須の論点が本文で実際に扱われているかを確認する。もう1つは、本文が予定より大幅に長い場合である。この場合、同じ内容の繰り返し、結論に関係しない背景説明、検索意図から外れた話題が混ざっている可能性がある。段落単位で、その段落がどの疑問に答えているのかを対応付け、対応する疑問がない段落は削るか、別の記事へ移す候補にする。

この使い方では、文字数は合否の基準ではない。何文字だから合格、何文字だから不合格という判定ではなく、差が見つかった箇所を読み直すための目印である。最終的な判断は、数字ではなく本文の内容に対して行う。

発注時に文字数指定が独り歩きする問題

文字数をめぐる混乱が起きやすい場面の1つが、記事制作を外部に発注する場面である。「5,000字以上で発注する」という形で、文字数が仕様の中心に置かれることがある。この指定には、次の問題がある。

  • 下限だけが決まっていると、書き手は内容ではなく分量を満たすことを優先しやすくなる。論点が尽きた後も書き足す必要が生じ、繰り返しや一般論で膨らんだ文章になりやすい
  • 費用が文字数に連動する契約では、長く書くほど金額が上がる構造になるため、分量を抑える方向の判断が働きにくくなる
  • 受け取る側も、文字数を満たしているかどうかは確認しやすい一方で、論点の抜けや根拠の不足は確認に時間がかかるため、検収が分量の確認に寄りやすくなる
  • テーマごとに必要な情報量は異なるにもかかわらず、一律の下限を適用すると、短くてよい記事まで同じ分量を求めることになり、記事ごとの設計ができなくなる

文字数を仕様から完全に外す必要はない。作業量の見積もりや費用の算定には、分量の目安があったほうが現実的である。問題は、目安であるはずの数字が、品質の条件として扱われることである。発注時には、文字数とあわせて少なくとも次の事項を明示するほうが、認識のずれは小さくなる。

  • 対象とする検索語と、想定する読者、検索意図
  • 必ず扱う論点と、扱わない範囲
  • 根拠として使う一次情報や、自社から提供する情報
  • 文字数は目安であり、論点を満たした結果として前後してよいのか、それとも厳密な範囲があるのかという扱い
  • 目安を大きく超える場合、または下回る場合に、事前に相談するかどうかという進め方

この形であれば、文字数は見積もりのための作業量の目安に戻り、記事の良し悪しは論点と根拠で判断できる。発注側が検索意図と必須の論点を示せない場合は、文字数を指定する前に、その設計自体を依頼範囲に含めるかどうかを検討する必要がある。

まとめ:決めるのは文字数ではなく、答える範囲である

記事の文字数は、検索意図と、答え切るのに必要な情報量から逆算して決まるものであり、先に固定する目標ではない。Google検索セントラルの公式ドキュメントにも、優先される文字数の設定は存在せず、魔法の文字数も最小や最大も存在しないことが書かれている。実務では、疑問を分解し、根拠を確認し、必須の論点と任意の論点を分けたうえで構成を作り、その結果として分量を見積もる。競合の分量は範囲感を知る目安として使い、写す対象にはしない。書き上がった後の文字数は、抜けと冗長さを点検する目印として使う。

問いの立て方を変えることが要点である。「何文字書けばよいか」ではなく、「この検索をする人の、どの疑問に、どこまで答える記事にするか」と問えば、文字数はその答えの後に自然に決まる。

なお、本記事を公開しているキジカルテは、SEO記事の制作と分析を扱うサービスであり、文字数を先に固定せず、検索意図と必要な論点から構成を決めることを工程の前提としている。サービス内容の詳細はサイト内の案内を参照されたい。

出典

  • Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」
  • Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」