記事の本数が増えてくると、個々の記事は公開されていても、記事同士のつながりは弱いままになることがある。関連する内容が別の記事にあるのに本文からたどれない、新しい記事を公開しても既存の記事からは到達できない、といった状態である。内部リンクは、こうした断絶をなくすために、サイト内のページ同士をつなぐ仕組みである。
設計で決めるのは、リンクの本数ではない。どの記事を読んでいる読者に、次にどの記事が役立つのかを考え、張る側と張られる側の関係をそろえることである。場当たり的に足すと、本文の流れと関係の薄いリンクが増え、読者にとっても、サイトの構造を伝える手がかりとしても弱くなる。
本記事では、Googleの公式ドキュメントで確認できる基本を押さえたうえで、関連記事同士のつなぎ方、主題を束ねるページの置き方、公開時に決めること、張りすぎないための判断、公開後の見直し方を整理する。
内部リンクとは何か
内部リンクとは、同じサイト内のページから別のページへ張るリンクを指す。記事本文の中で関連する解説へ案内するリンク、主題をまとめたページから個別の記事へ案内するリンク、記事の末尾で関連記事を示すリンクなどがこれにあたる。役割は大きく2つある。
第1の役割は、読者の移動を助けることである。ある記事で概要に触れた論点について詳しい記事が別にある場合、本文の流れの中で案内されれば、読者はサイト内を検索し直さずに必要な情報へ移れる。第2の役割は、ページ同士の関係を示すことである。Google検索セントラルのSEOスターターガイドでは、サイトを論理的に整理することで、検索エンジンやユーザーがページ間の関係を把握しやすくなると説明されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。内部リンクは、その関係を実際の移動経路として表す手段の1つである。
なお、リンクと順位の関係を単純化しないことも重要である。同ガイドでは、PageRankはリンクを利用する基本的なアルゴリズムの1つである一方で、Google検索ではほかにも多数のランキングシグナルを利用しており、PageRankはその1つにすぎないと説明されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。このため本記事では、本数と順位の基準は扱わず、関係が読み取りやすいつなぎ方と運用手順を扱う。
前提:クロール可能なリンクであること
設計の前に、リンクとしての形式が成立しているかを確認する必要がある。見た目上はリンクに見えても、検索エンジンがたどれない形式であれば、サイト構造を伝える役割は果たしにくい。
Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」によれば、通常、リンクがhref属性を持つa要素である場合にのみ、Googleはリンクをクロールできるとされている。その他の形式のリンクの多くは解析されず、クローラーに抽出されないと説明されている(出典:Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」)。a要素のURLは、クローラーがリクエストを送信できる実際のウェブアドレスに解決される形であることも求められる。
実務では、内部リンクが通常のa要素で記述され、リンク先が実在するページを指しているかを確認すればよい。画像をリンクに使う場合、同ドキュメントではGoogleはimg要素のalt属性をアンカーテキストとして使用すると説明されており、代替テキストが空でないかも確認対象になる(出典:Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」)。
設計の基本形:関連記事同士と、主題を束ねるページ
内部リンクの設計は、すべての記事をすべての記事とつなぐことではない。関係の近いもの同士をつなぎ、主題の単位でまとまりを作ることが基本になる。実務では、次の2つの形を組み合わせる。
1. 関連記事同士を本文の流れでつなぐ
1つ目は、内容が関連する記事同士を、本文の記述に沿って相互につなぐ形である。たとえば、ある記事で手順の概要を述べ、別の記事で手順の注意点を詳しく扱っている場合、概要を述べた箇所から詳細の記事へ案内する。逆に、詳細の記事の前提にあたる考え方を概要の記事が扱っている場合は、詳細の記事から概要の記事へ戻れるようにする。読む順序が双方向にありうる関係では、相互リンクが自然になる。
相互リンクにするかどうかは、関係の近さで判断する。同じ用語が出てくるだけの関係や、読者の目的が異なる記事同士では無理につながない。リンク先を開いたときに、直前に読んでいた内容の続きや補足として受け取れるかどうかが目安になる。
2. 主題を束ねるページから個別記事へつなぐ
2つ目は、ある主題の記事が複数ある場合に、その主題を束ねるページを置き、個別記事とつなぐ形である。束ねるページは、主題の全体像、各個別記事が何を扱うか、読む順序を示すページであり、一覧だけを並べたページとは役割が異なる。個別記事からは束ねるページへ戻れるようにし、束ねるページからは各個別記事へ進めるようにすることで、入り口と各論の関係が明確になる。
作例として、主題が「記事制作の進め方」であるサイトを考える。束ねるページが全体の手順を示し、個別記事が「キーワードの決め方」「見出しの作り方」「公開後の見直し方」をそれぞれ扱う構成である。この場合のつなぎ方は、次のように整理できる。
| 張る側 | 張られる側 | つなぐ理由 |
|---|---|---|
| 束ねるページ | 各個別記事 | 全体像を読んだ読者を、各論へ案内するため |
| 各個別記事 | 束ねるページ | 各論から全体像へ戻し、他の個別記事へ移れるようにするため |
| 個別記事同士 | 前後の手順にあたる個別記事 | 読む順序が連続する記事同士を、本文の流れでつなぐため |
これは構成を説明するための作例であり、特定のサイトの事例ではない。束ねるページを置くかどうかは本数だけで決めない。個別記事が1本しかない主題では不要であり、個別記事が増えて読者が全体像をつかみにくくなった段階で新設を検討する。
どちらの形でも土台は同じである。「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」では、関心のあるすべてのページに、同じサイト上の少なくとも1つ以上の別のページからのリンクがあることが推奨され、そのページの内容を読者に理解してもらうために役立つ、同じサイト上の別のリソースは何かを文脈を踏まえて検討し、リンクを追加すると説明されている(出典:Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」)。孤立したページを作らないことと、文脈に沿ってつなぐことが出発点になる。
アンカーテキストの書き方
リンクを張る位置が決まっても、リンクの文字であるアンカーテキストが曖昧では、読者は移動するかどうかを判断できない。アンカーテキストは、リンク先のページについてユーザーやGoogleに情報を伝えるものであると、両ドキュメントで共通して説明されている(出典:Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」、Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。適切なアンカーテキストがあれば、ユーザーと検索エンジンは、リンク先のページにアクセスする前に内容を把握しやすくなる。
良いアンカーテキストの条件として、「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」は、内容が具体的であること、適度に簡潔であること、掲載されているページとリンク先のページの両方に関連があることを挙げている。リンクに文脈を与え、読み手の期待に沿うものであることも示されている(出典:Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」)。
書き方を判断する際は、次の観点で確認できる。
- リンク先の主題が分かるか:「こちら」「詳細」「記事」といった大雑把な文字だけでは内容は伝わらない。リンク先の記事が何を扱うかを示す言葉にする
- 適度に簡潔か:文全体や段落全体をリンクにすると主題が読み取りにくくなる。主題を示す範囲に絞る
- 前後の文と合わせて読めるか:リンクの前後にある文も文脈を作る。前後の文を含めて、なぜそのリンク先が役立つのかが分かる書き方にする
- キーワードを詰め込んでいないか:リンク先に関連するキーワードの詰め込みは避ける。同ドキュメントでは、キーワードの乱用はスパムに関するポリシーに違反すると注意され、読者が次のページを理解するうえで本当に必要かどうかを考えることが示されている
- リンク同士が隣り合っていないか:リンクのすぐ隣に別のリンクを配置すると、読者が識別しにくくなり、それぞれの前後の文脈も失われる。リンクの間には文脈になる文を置く
同じリンク先へ複数の記事からリンクする場合は、アンカーテキストの書き分けも必要になる。同一の長い言い回しを繰り返すと不自然になりやすく、異なる主題であるかのような書き方はリンク先とずれる。主題を外さない範囲で、各記事の流れに合う表現を選ぶことが基本であり、書き分けは多様化自体が目的ではない。
公開時に決めること:張る側と張られる側を同時に決める
内部リンクが後回しになる原因の多くは、公開の手順に組み込まれていないことにある。公開後に思い出して足す運用では足し忘れが蓄積し、既存記事側の見直しはさらに後になる。公開時に、新規記事から既存記事へ張るリンクと、既存記事から新規記事へ張るリンクを同時に決めることが実務上の要点になる。
公開時の手順は、次の順序で整理できる。
- 新規記事の主題と関連する既存記事を選び、本文のどの箇所から案内するかを決める
- 選んだ既存記事を読み直し、新規記事へ案内すべき箇所があるかを確認する。ある場合は、既存記事側にもリンクを足す作業を公開作業に含める
- 主題を束ねるページがある場合は、束ねるページに新規記事への案内を加え、新規記事からも束ねるページへ戻れるようにする
- アンカーテキストを、リンク先の主題が分かる表現で書き、前後の文とのつながりを確認する
- 決めたリンク関係を一覧に記録し、張り忘れがないかを確認できる状態にする
重要なのは、新規記事側だけで公開を終えないことである。既存記事から新規記事へのリンクは、既存記事を再び開く作業が必要になるため漏れやすい。双方向を確認する手順にしておけば、新しい記事の孤立を抑えられる。既存記事側に足す箇所がない場合は無理に作らず、記録に残す。理由が残れば、後の見直しで同じ検討を繰り返さずに済む。
張りすぎないための判断
内部リンクは、多ければよいものではない。本文の流れに沿わないリンクが増えると、読者はどの案内が重要なのかを判断しにくくなり、文章自体も読みにくくなる。SEOスターターガイドでも、リンクは必要に応じて張るものであるという位置づけで、関係のあるリソースへつなげる使い方が示されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。
判断の目安になる問いは3つある。第1に、その箇所を読んでいる読者にとって、リンク先の情報が次に必要になるかである。必要になる場面が想定できないリンクは、本文ではなく関連記事の案内に回すか、張らない判断をする。第2に、リンク先の内容が、リンク元の記述の補足や根拠として実際に機能しているかである。用語が一致するだけで中身の関係が薄い場合は、張らないほうが本文の意図は明確になる。第3に、同じリンク先への案内が同じ記事の中で重複していないかである。同じ案内を繰り返しても、読者にとっての情報量は増えない。
記事末尾に関連記事をまとめる形式でも同様であり、末尾は関連の薄い記事まで並べる場所ではない。本文と末尾を合わせて、リンク全体がその記事の主題と関係する範囲に収まっているかを確認する。なお、本数に一律の上限や下限を設ける運用は勧めない。適切な本数は長さや主題で異なるため、1本ごとに次の行動として自然かを確認するほうが判断は安定する。
公開後の見直し:新しい記事が増えたら旧記事側に戻る
公開時に双方向のリンクを決めていても、見直しは必要になる。記事が増えるほど、公開時点では存在しなかった関連記事が後に生まれるためである。見直しの中心は、新しい記事が増えたときに旧記事側へ戻ってリンクを足すかどうかを検討することにある。
手順は次のとおりである。まず、一定期間に公開した新規記事を一覧にし、それぞれの主題と関連する旧記事を洗い出す。次に、旧記事を読み直し、新規記事へ案内する箇所があるか、案内するとすれば本文のどの位置が自然かを確認する。併せて、新規記事側から旧記事へのリンクが張られているか、束ねるページへの組み込みが済んでいるかも確認する。最後に、追加したリンクと、検討した結果追加しなかったリンクを記録に残す。
見直しでは、アンカーテキストの点検も行う。公開後に記事のタイトルや主題の扱いが更新された場合、旧いアンカーテキストがリンク先の現在の内容とずれていることがある。「こちら」といった大雑把なアンカーテキストが残っている箇所があれば、リンク先の主題が分かる表現への書き換えを検討する。点検の観点は、前述のアンカーテキストの条件に立ち返ればよい。
見直しの範囲は、新規記事の主題と関連する範囲に絞る。全記事を毎回読み直すのではなく範囲を絞るほうが作業は持続しやすい。また、見直しの結果としてリンクを外す判断もありうる。記事の主題が更新されて関係が薄くなった場合や、より適切なリンク先の記事が後に公開された場合である。追加だけでなく、付け替えと削除も含めて見直すことで、リンク関係は現在の記事構成に合った状態に保たれる。
リンク関係を一覧で管理する
設計と見直しを継続するには、リンク関係を記録しておく必要がある。記録がないと、どの記事とどの記事がつながっているかを把握するために毎回すべての記事を開くことになり、見直しの範囲を絞れない。
記録する項目は、運用に必要な範囲でよい。代表的には、記事のタイトルとURL、その記事が属する主題、張っているリンクのリンク先、張られているリンクのリンク元、束ねるページとの関係、最終確認日である。専用の形式は問わず、記事の一覧表にリンク関係の欄を加える形でも管理できる。
一覧があると、どの記事からもリンクされていない記事や、束ねるページに組み込まれていない記事が判別でき、見直しの対象を具体的に選べる。前述のとおり、関心のあるページには少なくとも1つ以上の別のページからのリンクがあることが推奨されているため(出典:Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」)、一覧は確認台帳としても機能する。ただし、リンク元があることと本文の流れに沿った適切なリンクであることは別であり、形式と内容の確認は分けて行う。
まとめ:関係を決め、公開時にそろえ、増えたら見直す
内部リンクの張り方は、関連する記事同士を本文の流れで相互につなぐことと、主題を束ねるページと個別記事をつなぐことを基本形とし、クロール可能な形式で、リンク先の主題が分かるアンカーテキストを用いる作業である。公開時には、新規記事から張るリンクと既存記事から張られるリンクを同時に決め、本数ではなく読者にとっての必要性で張るかどうかを判断する。公開後は、新しい記事が増えたら旧記事側へ戻って見直し、リンク関係を一覧で管理することで、設計は維持される。
なお、本記事を公開しているキジカルテは、SEO記事の制作と分析を扱うサービスであり、記事同士のつながりを含むサイト内の設計と見直しを工程の前提としている。サービス内容の詳細はサイト内の案内を参照されたい。
出典
- Google検索セントラル「GoogleのSEOリンクに関するベストプラクティス」
- Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」