オウンドメディアを運用していると、「アクセスは増えたが、成果につながっているのか分からない」という状態に陥りやすい。記事は増え、ページビューも伸びている。それでも、問い合わせや採用応募が増えたのかが答えられなければ、次に何をすべきか決められない。
原因は、たいてい測定ツールの使い方ではない。目的を決める前に指標を選んでしまっていることにある。何のために運営するのかが曖昧では、どの数字が良いのかを判断できない。
本記事では、目的を先に決めてから指標を選ぶ順序を起点に、指標の階層、Search Consoleの4指標の公式定義に沿った読み方、GA4で見るべきもの、PVだけで判断できない理由、記事単位の数字、月次報告の形、目標値の置き方を整理する。
まず目的を決め、指標はその後に選ぶ
成果測定の順序は、指標からではなく目的から始める。最初に「このメディアは事業の何に貢献するのか」を1文で言える形にし、次に、その貢献を確認できる行動を決め、最後に、その手前で起きる変化を捉える数字を選ぶ。順序を逆にすると、取れる数字から都合のよいものを拾う測定になりやすい。
| 目的 | 最終的に数えたい成果 | 成果として数える行動の例 |
|---|---|---|
| 問い合わせ獲得 | 相談や商談につながる問い合わせの件数 | 問い合わせフォームの送信完了、資料請求の完了 |
| 認知の拡大 | 自社の名前や専門領域が知られている状態 | 社名を含む検索での表示、専門テーマでの露出 |
| 採用 | 採用応募や、応募前の接点の増加 | 採用ページへの到達、応募フォームの送信完了 |
表の右列のうち、フォーム送信完了や応募完了などサイト上の行動は、後述するGA4のキーイベントの設定対象と対応する。認知の行の「社名を含む検索での表示、専門テーマでの露出」は検索結果側の表示でGA4のイベントにはならず、Search Consoleの表示回数で数える。目的が違えば同じ記事でも評価は変わる。採用が目的のメディアでは問い合わせは主たる成果ではないし、問い合わせ獲得が目的であれば、読まれるだけで終わる記事は最終成果に届いていない。
目的は複数あってもよいが、優先順位を付けておく。すべて同列では月次報告が数字の羅列になるため、主目的を1つ決め、他は補助的な指標として扱う。
指標は3つの階層で並べる
目的が決まったら、指標を最終成果、中間の行動、先行指標の3階層に分けて並べる。階層を持つことで、数字が動いたときに「どこで止まっているのか」を切り分けられる。
| 階層 | 役割 | 指標の例 | 主な確認先 |
|---|---|---|---|
| 最終成果 | 目的の達成そのものを数える | 問い合わせ件数、資料請求件数、応募件数 | GA4のキーイベント、自社の受付記録 |
| 中間の行動 | 成果の直前で読者が取る行動を見る | 料金ページなどへの到達 | GA4のランディングページ、ページ遷移 |
| 先行指標 | 成果より前に現れる変化を捉える | 表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位 | Google Search Console |
先行指標は最終成果よりも早く動く。新しい記事を公開しても問い合わせがその月に増えるとは限らないが、検索結果に表示され始めたか、選ばれているかは早い段階で確認できる。ただし表示回数が増えても中間の行動と最終成果が動いていなければ、届いている相手や内容が目的とずれている可能性がある。
逆に最終成果だけを見る運用にも弱点がある。問い合わせ件数は月の変動が大きく、件数が少ないメディアでは1件の増減で大きく振れる。どの記事がどの段階で効いているのかが見えなければ、次の題材の判断が勘に寄る。
Google Search Consoleで見る4つの指標
先行指標の確認先が、Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートである。このレポートには、Google検索の検索結果でのサイトのパフォーマンスに関する指標が表示される(出典:Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。中心はクリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位の4つである。
クリック数
クリック数は、ユーザーがGoogle検索の検索結果からサイトをクリックした回数である(出典:Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。別のヘルプでは、Googleからサイトへのリンクがクリックされた頻度と説明されている(出典:同「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
この数字が示すのは検索結果からサイトへ入ってきた回数であり、到着後の行動は含まない。クリック数が増えても中間の行動や最終成果が増えていなければ、内容や、その先のページへの案内側に課題があると切り分けられる。
表示回数
表示回数は、サイトが検索結果に表示された回数である(出典:Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。表示とは、Google検索などでユーザーがサイトへのリンクを閲覧した、または閲覧した可能性があることを意味する。通常は、表示中の検索結果ページに項目が掲載されていればカウントされ、画面に表示されるまでスクロールされたかどうかは関係しない。ただしカルーセルのような要素では、スクロールや展開によってはじめてカウントされる場合がある(出典:Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
表示回数は「検索する人の前に現れた回数」と捉えると読みやすい。少ない記事は、内容以前に読者の前に出ていない。多いのにクリック数が少ない記事は、出てはいるが選ばれていない。
CTR
CTRはクリック率のことであり、クリック数を表示回数で割った値である(出典:Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。割り算で出る以上、CTRは単独では実態を表さない。表示回数が10回でクリック数が1回なら10パーセントだが、表示回数が10,000回でクリック数が100回なら1パーセントである。後者のほうが、サイトに連れてきている人数は多い。
したがってCTRは表示回数とクリック数と並べて読む。比較は、対象期間や検索タイプ、デバイスなどの条件をそろえた同士で行い、表示に対して選ばれる割合の変化を見る。
平均掲載順位
平均掲載順位は、検索結果におけるサイトの最上位の平均掲載順位である(出典:Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。レポートの値は、プロパティまたはページへのリンクに付与される最上位の掲載順位を、そのプロパティが表示されるすべてのクエリで平均したものである。ヘルプの例では、あるクエリで最上位が2位、別のクエリで3位であれば、平均は(2+3)÷2=2.5になる(出典:Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
注意したいのは、平均掲載順位が「今この瞬間に自社ページが何位か」を示す数字ではないことである。値はすべての検索の平均であり、検索履歴や場所などの変数によって実際の表示が平均と異なる場合がある。ヘルプも、数字だけを見て判断すべきではなく、時系列での変動、特に突然の変動を把握するよう勧めている(出典:Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
サイト全体の平均を追うよりも、クエリやページの単位に分解して見るほうが判断につながりやすい。表示されるクエリの顔ぶれが変われば、個々の順位が変わらなくても平均は動くためである。
GA4で見るもの:サイトに来た後の行動
Search Consoleが扱うのは検索結果の中で起きたことまでであり、サイトに来た後の行動はGA4(Googleアナリティクス)で見る。「来る前」と「来た後」という分担であり、GA4側の中心はキーイベントとランディングページの2点である。
キーイベント
キーイベントとは、ビジネスの成果にとって特に重要なアクションを測定するイベントのことである。ユーザーがアクションを実施してイベントをトリガーすると、キーイベントとしてGoogleアナリティクスに記録され、レポートに表示される。収集したイベントはすべてキーイベントになり得る。測定するには、アクションを測定するイベントを作成または特定し、キーイベントとしてマークを付ける(出典:アナリティクスヘルプ「キーイベント」)。
なお、GA4のキーイベントとGoogle広告のコンバージョンは同じではない。ヘルプでは、重要なイベントにキーイベントとしてマークを付け、それが広告の最適化と測定に重要である場合は、そのキーイベントを基にGoogle広告でコンバージョンを作成する流れが説明されている(出典:アナリティクスヘルプ「Googleアナリティクスのコンバージョンとキーイベントの違い」)。
キーイベントに何を設定するかは目的と対応させる。問い合わせ獲得が目的であればフォームの送信完了、採用が目的であれば応募の完了が候補になる。目的と対応しない行動まで含めると最終成果の数字は実態から離れる。たとえば単なるページビューを含めれば件数は増えるが、それは成果の増加ではない。
ランディングページ
ランディングページレポートは、ユーザーが最初にアクセスしたページと、各ページにアクセスしたユーザーの数を確認できるレポートであり、高い成果を上げているページと改善が必要なページの把握に役立つとされている。ランディングページのディメンションは、セッションの最初のページビューに関連付けられたページパスとクエリ文字列を指す(出典:アナリティクスヘルプ「ランディングページレポート」)。
このレポートでは、ランディングページごとに、セッション数などと並べて、キーイベント、つまりユーザーがキーイベントをトリガーした回数も確認できる(出典:アナリティクスヘルプ「ランディングページレポート」)。記事が入口となったセッションが最終成果にどれだけつながったかをページ単位で見る基盤がここにある。
PVの増減だけで成否を判断できない理由
ページビュー(PV)は、ページが閲覧された回数を数える数字であり、規模感を掴む用途には使いやすい。しかし、PVの増減だけで成否を判断することはできない。理由は大きく3つある。
- PVは成果そのものではない。PVは閲覧の回数であり、問い合わせや応募といった目的側の行動を含まない。PVが増えてもキーイベントが増えていなければ、目的への貢献は確認できていない。
- PVはサイト全体の合算になりやすい。合算は、どの記事が増えてどの記事が減ったのかを隠す。新規記事を増やせば合算は増えやすいが、それは1記事あたりの働きが良くなったこととは別である。
- PVの増減には、メディア側以外の要因も混ざる。季節による検索需要の変動、外部の出来事による一時的な流入、広告やSNSからの流入の増減などである。理由を切り分けずに成否へ結びつけると、判断を誤る。
PVを捨てる必要はない。位置づけの問題である。階層の下位の参考値として置き、最終成果と結びつけて読む。PVが増えたなら、表示回数とクリック数、キーイベントはどうだったのかと階層をたどって確認する。
記事単位で見る数字
サイト全体の数字だけでは、次の記事をどうするかも、既存記事を直すかどうかも決められない。判断の単位は記事であり、Search Consoleのページディメンションで見る検索側の数字と、GA4のランディングページで見るサイト側の数字を並べる。
| 見る数字 | 確認先 | 分かること |
|---|---|---|
| 表示回数と主なクエリ | Search Console(ページ、クエリ) | どの検索語で、どれだけ読者の前に現れているか |
| クリック数とCTR | Search Console(ページ) | 現れたときに、どれだけ選ばれているか |
| 平均掲載順位 | Search Console(ページ、クエリ) | 主なクエリでの位置の推移。平均値である点に注意する |
| セッション数 | GA4(ランディングページ) | その記事が入口となった訪問の量 |
| キーイベント数 | GA4(ランディングページ) | その記事を入口としたセッションの成果へのつながり |
並べた数字は組み合わせで読む。表示回数が多くクリック数が少ない記事は、タイトルや検索意図とのずれの確認対象になる。クリック数はあるがキーイベントにつながらない記事は、内容と案内の確認対象になる。キーイベントにつながっている記事は、そのテーマが目的と合っている手がかりであり、次の題材の材料になる。
公開直後の記事は評価を急がない。表示回数が少ない段階では、CTRのような割合は小さな件数の増減で大きく振れる。判断は一定の表示回数が積み上がってから行い、それまでは表示され始めたかの確認に留める。
月次報告の形
月次報告は、数字を並べる場ではなく、階層に沿って判断を残す場である。冒頭に最終成果を置き、中間の行動、先行指標と続け、最後に判断したことと次月の対応を書く。
次は、架空のメディアを想定した報告表の例である。数値はすべて例示のための仮の値であり、実在の実績ではない。
| 階層 | 指標(例) | 当月(例) | 前月(例) | 読み取り(例) |
|---|---|---|---|---|
| 最終成果 | 問い合わせ件数(キーイベント) | 12件 | 9件 | 増加。入口となった記事の内訳を確認 |
| 中間の行動 | 記事から料金ページへの到達セッション数 | 210 | 180 | 増加。特定の記事からの到達が増えている |
| 先行指標 | クリック数(Search Console) | 4,800 | 4,100 | 増加。表示回数の増加とあわせて確認する |
| 先行指標 | 表示回数(Search Console) | 96,000 | 78,000 | 増加。新規記事と既存記事の伸びを分ける |
| 参考値 | PV | 31,000 | 27,000 | 増加。ただし成否の判断は上段の階層で行う |
表で意識したい点は2つある。1つは比較の条件をそろえることである。期間の日数や検索タイプが月ごとに変われば、前月との比較は成り立たない。もう1つは、数字の隣に読み取りを書くことである。動きが階層のどこで起きているのかまで書いて初めて、報告が次の作業につながる。
目標値は、自社の直近実績から置く
頼りたくなるのが、他社の事例や、メディア運営の記事で紹介される数字である。しかし他社の数字は、目的、テーマ、規模、運営期間が自社と異なる前提で成り立っている。自社に合わない数字を目標に据えると、達成の可否が自社の改善と無関係な条件で決まってしまう。
目標値は、自社の直近実績を起点に置く。手順の例は次のとおりである。
- 直近の数か月分について、最終成果、中間の行動、先行指標の実績を階層ごとに集計し、ばらつきを含めて現状を把握する
- 最終成果の目標を先に置き、必要な中間の行動と先行指標の水準を、現在の比率を基に逆算して並べる
- 目標と実績の差が階層のどこで生じているかを月次で確認し、差が大きい階層に対応を集中させる
この置き方では、目標は他社との比較ではなく、自社の前月や前四半期との比較になる。季節変動が大きい事業では前年同月との比較を補助的に使うこともある。基準は自社の履歴であり、届かなかった場合にも、階層のどこで止まったのかを自社の数字で説明できる。
目標値を置くことと、数字を約束することは別である。表示やクリックは自社の作業だけで決まるものではない。目標値は判断に使う物差しとして置き、対外的に成果を約束する材料にはしない。
まとめ:目的、階層、定義の3点をそろえる
成果測定で押さえたいのは、目的、階層、定義の3点である。最初に目的を決め、成果として数える行動を定める。次に指標を3階層に並べ、動きがどこで起きているかを切り分けられる形にする。そして各指標は、公式の定義に沿って読み、平均値や割り算といった性質を踏まえて解釈する。
PVは参考値として階層の下位に置き、判断は記事単位の数字と最終成果とのつながりで行う。月次報告では条件をそろえた比較と読み取りを残し、目標値は自社の直近実績から置く。
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出典
- Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」
- Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」
- アナリティクスヘルプ「キーイベント」
- アナリティクスヘルプ「Googleアナリティクスのコンバージョンとキーイベントの違い」
- アナリティクスヘルプ「ランディングページレポート」