記事は、書き終えた時点では完成ではない。事実の誤り、数字のずれ、リンク先の食い違い、公開設定の取り違えは、公開前に止めることができるものが多い。公開前チェックの役割は、最後の段階で誤りを取り除き、確認した内容を後からたどれる形で残すことにある。

本記事は、自社で記事を出す担当者に向けて、公開直前に確認する項目と進め方を整理したものである。発注前の確認とは別の工程として、原稿が手元にある状態から公開までの確認に絞る。

なぜ公開直前の確認が別工程になるのか

書いた本人による読み直しだけでは、誤りを見つけにくい。自分の文章は、書いたときの意図を知っているため、書かれていないはずの意味まで補って読んでしまうことがある。誤字や脱字だけでなく、前提の取り違えや出典との食い違いも、本人の目では通過しやすい。

そのため、公開前チェックは執筆とは別の工程として扱い、書いた人と確認する人を分けることが基本になる。確認する人は、原稿を初めて読む読者の立場で、主張が根拠と結び付いているか、説明が途切れていないかを見ることができる。

Google検索セントラルの「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」でも、自己評価に加えて、自身のサイトと無関係な信頼できる第三者に率直に評価してもらうことを検討するよう示されている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。

生成AIの下書きを使う場合も、この工程は省略できない。同ガイダンスは、生成モデルは事実を取得するのではなく、学習データに基づいて可能性の高い単語の並びを予測するため、出力に不正確な情報が含まれる可能性があると説明し、公開前に手動でファクトチェックを行い、正確性と信頼性を確認することが重要であるとしている(出典:Google検索セントラル「ウェブサイトで生成AIによるコンテンツを使用するためのGoogle検索のガイダンス」)。

公開前チェックの全体像

項目確認の中心
1. 事実と出典の照合主張ごとに出典があり、内容が一致しているか
2. 数字の検算計算、単位、時点、分母が正しいか
3. 定義と用語公式の定義や正式名称とずれていないか
4. タイトルと本文の一致、見出し階層タイトルが約束した内容が本文にあるか、階層が構造を示しているか
5. リンクの動作とリンク先の内容遷移先が開き、本文の説明とリンク先が一致しているか
6. 表記統一数字、用語、社名などの表記が記事内でそろっているか
7. 規制と権利の確認引用の範囲、素材の権利、分野別の広告規制への抵触がないか
8. 公開設定URL、メタ情報、公開範囲が意図どおりか

順番にも意味がある。事実や数字のような内容の正しさに関わる項目を先に終え、表記や公開設定のような形式の項目を後に置く。内容が変われば形式の確認もやり直しになるためである。

1. 事実と出典の照合

最初に行うのは、事実の主張と出典の対応付けである。本文から事実の主張を抜き出し、それぞれについて出典を開き、記述が一致しているかを見比べる。出典として扱うのは、制度であれば所管官庁の案内や法令、料金や仕様であれば提供元の公式ページ、統計であれば調査主体の公表資料といった一次情報である。検索結果の要約や他社の記事だけを根拠にしない。

照合では、主張の主語と出典の主語が同じか、条件や例外が落ちていないか、古い資料を現在の事実として書いていないか、引用が原文どおりで要約と混ざっていないか、出典にないことを出典があるかのように書いていないかを見る。

Googleの自己評価項目にも、「コンテンツに明らかな事実誤認はありませんか」という問いや、明確な情報源を示すなど信頼できることを示す情報を提供しているかという問いが含まれている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。

確認できない主張が残る場合は、公開を急がず、表現を出典で確認できる範囲まで弱めるか、その主張自体を削除する。確認できなかったことを、断定のまま残さないことが原則である。

2. 数字の検算

数字は、読者に伝わる影響が大きい。検算では、本文中のすべての数字を対象に、計算そのものと、数字の置き方を確認する。

  • 合計や割合を元の数字から計算し直す。割合は分母を確認し、分母の異なる割合を並べて比較していないかを見る
  • 単位がそろっているかを見る。円と万円、件と人、パーセントとポイントの取り違えは、作例として挙げれば、金額を万円単位で集計した表と円単位で書いた本文を並べる場合に生じる。これは説明のための作例であり、実在の事例ではない
  • 時点を明記しているかを見る。料金、制度、統計の数字は、いつの時点の情報かを本文や注記に添える
  • 概数と正確な数字を混同していないかを見る。四捨五入した場合はその旨が分かる表現にする
  • 表やグラフと本文の数字が一致しているかを見る。表を直した後に本文を直し忘れるずれは起きやすい

検算は、確認する人が元の資料から独立に計算し直す形が望ましい。同じ手順をなぞるだけでは、計算方法自体の誤りに気付きにくいためである。

3. 定義と用語の確認

専門用語や制度の名称は、日常の使い方と公式の定義がずれていることがある。公開前には、記事の中心になる用語について、公式の定義や正式名称と照合する。

確認の対象は、法律や制度の名称、資格や手続きの名称、指標の定義、製品やサービスの正式名称である。略称を使う場合は、初出で正式名称を示し、出典側でも使われている表記かを確認する。自社だけの呼び方を一般的な用語であるかのように書いていないかも見る。

定義が分野や出典によって異なる場合は、どの定義で書いているかを本文で明らかにする。定義を示さずに数字や条件だけを並べると、読者は別の定義を前提に読み、誤解が生じる。公式の定義と異なる使い方をする場合は、その旨を明記する。

4. タイトルと本文の一致、見出し階層

タイトルは、本文の内容を要約した約束である。点検では、タイトルに含まれる論点を書き出し、それぞれが本文のどの見出しで扱われているかを対応付ける。対応する本文がない論点は、本文に足すか、タイトルから外す。数字、期間、対象範囲といった限定表現がタイトルにある場合は、本文の記述と数値や条件が一致しているかも確認する。

Google検索セントラルは、タイトルについて、そのページに固有で、内容を正確に説明し、簡潔であることをよいタイトルの条件として示している(出典:Google検索セントラル「Google検索結果のタイトルリンクの変更」、同「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。また、「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」の自己評価には、メインの見出しやページタイトルが内容を要約する有用なものか、誇張したものではないかという問いがある(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。

見出しについては、見出しだけを順に読んで全体の構造が分かるかを確認する。大きな区切りと細目で階層が分かれているか、同じ階層に関係のない論点が並んでいないか、見出し文と配下の本文が一致しているかを見る。

5. リンクの動作とリンク先の内容

リンクは、張った時点で正しくても、公開直前にもう一度確認する必要がある。確認は2層に分ける。第1に動作の確認である。リンクを実際に開き、遷移先が表示されるか、リンク切れや誤ったURLになっていないか、サイト内のリンクが意図したページへ進むかを見る。第2に内容の確認である。リンク先のページが、本文で説明した内容と一致しているか、リンク先が更新されて説明と食い違っていないか、アンカーテキストがリンク先を正確に表しているかを見る。

SEOスターターガイドでも、リンクテキストは、ユーザーやGoogleに対してリンク先のページについての情報を伝えると説明されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。出典へのリンクは、該当するページへ直接届くかも確認する。トップページだけへのリンクでは、読者が根拠をたどれなくなる場合がある。

6. 表記統一

表記のばらつきは、事実の誤りではなくても、記事全体の信頼感を下げる。公開前には、表記ルールに照らして記事を通読し、次の点をそろえる。

  • 数字の表記:半角と全角、桁区切り、割合や金額の書き方が記事内で統一されているか
  • 用語の表記:同じ概念を指す言葉が、異なる表記で混在していないか。送り仮名や長音の扱いも含む
  • 固有名詞:社名、サービス名、製品名が正式名称どおりか。略称の使い方が初出と以後で一貫しているか
  • 日付と時点の表記:年月日の書き方、時点の示し方がそろっているか

表記統一は、好みの問題として扱わず、自社の表記ルールを文書として用意し、それと照合する形にする。ルールに迷う表記が出た場合は、その場で決めてルールへ追記し、次の記事でも同じ判断が再現できるようにする。

7. 規制と権利の確認

引用と素材の権利

他者の文章や画像を使う場合は、引用として成立する範囲か、利用の許諾が必要な利用かを確認する。著作権法第32条第1項は、公表された著作物は、公正な慣行に合致し、かつ報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われる場合に、引用して利用できると定めている。同法第48条は、引用の場合に著作物の出所を明示することを求めている(出典:著作権法第32条、第48条)。

文化庁の著作権テキストでは、引用の条件として、すでに公表されている著作物であること、公正な慣行に合致すること、引用の目的上正当な範囲内であることに加え、主従関係が明確であること、引用部分が明確になっていること、引用を行う必然性があること、出所の明示が必要であることが挙げられている(出典:文化庁「著作権テキスト」)。出典を付けただけで引用になるとは限らない点に注意が必要である。

画像、図表、写真などの素材は、引用とは別に、素材の配布元が示す利用条件を確認する。利用できる範囲、改変の可否、クレジット表示の要否、商用利用の可否は素材ごとに異なる。入手経路が不明な素材は使わない。確認した利用条件は、後述するチェックの記録に残す。

表示と分野別の規制

記事が商品やサービスの内容や価格に触れる場合は、表示に関する規制も確認対象になる。不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、商品やサービスの品質などを実際より著しく優良であると示す表示や、価格などの取引条件を実際より著しく有利であると誤認させる表示を、不当表示として禁止している(出典:消費者庁「景品表示法」に関する案内)。効果や性能を述べる場合は、その根拠となる資料を自社で示せるかを確認し、根拠のない断定や、根拠の範囲を超えた表現は避ける。

分野によっては、分野別の規制やガイドラインが別に存在する。たとえば医療の分野では、厚生労働省が医療広告に関する規制の案内とガイドラインを示している(出典:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」)。金融、法律、税務などの分野でも、所管官庁や関係団体が示す案内が確認先になる。本記事は個別の表現が規制に抵触するかどうかの判断を示すものではない。可否に迷う表現がある場合は、公開前に所管官庁の公表資料を確認し、必要に応じて専門家へ確認する手順を決めておく。

8. 公開設定の確認

内容の確認が終わっても、公開設定の誤りは残りうる。最後に、公開操作そのものを確認する。

  • URL:意図したURLで公開されるか。既存記事のURLと重複していないか、下書きやプレビュー用のURLのままになっていないか
  • メタ情報:title要素、メタディスクリプション、構造化データ、画像の代替テキストが、本文と一致しているか。生成AIに関するガイダンスでも、この審査は検索結果に表示される可能性のあるメタデータにも適用されるとされている(出典:Google検索セントラル「ウェブサイトで生成AIによるコンテンツを使用するためのGoogle検索のガイダンス」)
  • 公開範囲と状態:公開か下書きか、公開日時、限定公開などの範囲設定が意図どおりか。誤って未完成の別記事を公開対象に含めていないか
  • 表示の確認:公開する画面で、見出しの階層、表の崩れ、画像の表示を目視で確認したか。スマートフォンとパソコンの両方の幅で読めるか

公開設定の確認は、設定項目を一覧化し、操作のたびに同じ順序で確認できるようにする。

進め方:分ける、記録する、直した箇所を再確認する

書いた人と確認する人を分ける

進め方の原則は、執筆者と確認者の分離である。確認者は根拠に立ち戻る確認を担い、執筆者は指摘を受けて本文を直す。確認者がその場で本文を書き換えると、何を根拠にどう直したかが分からなくなるため、指摘と修正は分けて記録する。小規模な体制で別人を用意できない場合でも、時間を置いてから確認の手順だけで通読するなど、執筆の視点から離れる工夫を取り入れる。

チェックの記録を残す

確認は、実施した事実だけでなく中身を残す。最低限残す項目は、対象記事、確認した日、確認した人、確認した項目、指摘した箇所、直した内容、直さなかった場合はその理由である。出典の確認であれば、どの主張をどの出典で確認したかまで残すと、公開後に疑問が生じたときに根拠へ戻ることができる。

記録の形式は、チェックシートのように項目を固定した形が扱いやすい。項目が固定されていれば確認漏れに気付きやすく、記事をまたいで同じ水準の確認を再現できる。

直したら、直した箇所を再確認する

指摘を受けて直した箇所は、直したこと自体で完了としない。修正によって別の誤りが入り込むことがあるためである。数字を直せば表や要約文との一致が崩れることがあり、文章を差し替えれば出典との対応がずれることもある。再確認は、直した箇所と、その影響が及ぶ前後の文、関連する表や見出しに絞って行う。影響範囲の特定は確認者が行い、執筆者の自己申告だけで終えない。

公開後に誤りが見つかった場合

公開前の確認を尽くしても、誤りが後から見つかることはある。その場合の手順も、先に決めておく。誤りの内容と影響範囲を確認し、正しい内容へ直し、直した日と内容を記録に残す。読者の判断に影響する事実の誤りであれば、記事内での訂正の示し方も含めて扱いを決める。訂正の記録が残っていれば、同じ誤りが他の記事にもないかを横断して確認する手がかりになる。

SEOスターターガイドでも、公開済みのコンテンツを確認し、必要なら更新し、的外れになったら削除することが示されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。公開は確認の終わりではなく、公開後の訂正と更新までを含めて1つの工程として設計する。

まとめ:公開前チェックは、確認の項目と記録で成り立つ

記事の公開前チェックは、事実と出典の照合、数字の検算、定義と用語、タイトルと本文の一致と見出し階層、リンクの動作とリンク先の内容、表記統一、規制と権利の確認、公開設定という8つの項目で構成される。いずれも、原稿と根拠やルールを並べて見比べる作業であり、感覚的な読み直しとは異なる。進め方では、書いた人と確認する人を分け、誰が、いつ、何を確認し、何を直したかを記録に残し、直した箇所を再確認する。公開後の訂正と記録までを決めておくことで、チェックは記事全体の誤りを減らしていく工程になる。

なお、本記事を公開しているキジカルテは、SEO記事の制作と分析を扱うサービスであり、書く工程と確かめる工程を分けること、主張と出典の対応を記録に残すこと、公開前の確認を経た記事だけを公開することを工程の前提としている。サービス内容の詳細はサイト内の案内を参照されたい。

出典

  • Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
  • Google検索セントラル「ウェブサイトで生成AIによるコンテンツを使用するためのGoogle検索のガイダンス」
  • Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」
  • Google検索セントラル「Google検索結果のタイトルリンクの変更」
  • 著作権法第32条、第48条(e-Gov法令検索)
  • 文化庁「著作権テキスト」
  • 消費者庁「景品表示法」に関する案内
  • 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」