検索結果の上位にある記事を読み比べると、同じ説明の言い換えが並ぶことがある。他社の記事を要約し直しただけの内容は、読者がすでに知っている情報の繰り返しになりやすく、書き手がその主題について何を確かめたのかも伝わらない。そこで必要になるのが一次情報である。一次情報とは、他者の発信を経由せず、自社が直接集めたデータ、直接聞いた話、直接行った測定や検証の結果を指す。本記事では、一次情報の定義とGoogleの公式文書における位置づけを確認したうえで、自社で生み出せる一次情報の種類と作り方、記事へ入れるときの条件の書き方、守るべき点を整理する。なお、一次情報を入れることは、検索順位の上昇を約束するものではない。その点も含めて、過不足のない扱い方を述べる。

一次情報とは何か

一次情報と二次情報の違いは、情報がどこで生まれたかという点にある。一次情報は、観測、記録、聞き取り、実験といった行為によって、その場で新たに生まれた情報である。たとえば、自社の受注記録を集計した数値、顧客に直接尋ねた回答、現場の担当者に直接聞いた手順、自社で機器を動かして測った結果が該当する。これに対して二次情報は、すでに公表された情報を引用、要約、再構成したものである。公的機関の統計や他社の調査結果を引く行為は二次情報の利用であり、それ自体は誤りではない。ただし、二次情報のみで構成された記事は、他の記事との差が生まれにくい。

一次情報の価値は、希少性だけにあるのではない。条件を添えて示された一次情報は、読者がその数字や証言をどの範囲で信じてよいかを判断する材料になる。集計の対象が何件で、いつの期間の記録であり、どのような方法で数えたかが分かる数字と、分からない数字では、読み手の受け取り方が異なる。一次情報を作る作業は、したがって、数字や証言を集める作業であると同時に、その数字や証言の成立条件を記録する作業でもある。本記事で繰り返し述べる「条件を添える」という原則は、この点に由来する。

一次情報は、大規模な調査でなければ作れないものでもない。自社の業務の中には、すでに記録として残っている情報が存在する。問い合わせの件数と内訳、作業にかかった時間、現場で起きた不具合と対処の記録などは、集計の方法を決めて数え直せば、そのまま記事の材料になる。新しい調査を起こす前に、既存の記録を棚卸しすることが、一次情報づくりの現実的な起点になる。

Googleの自己評価項目が求めるもの

一次情報が記事の品質と関係するという考え方は、Googleの公式文書にも明記されている。Google検索セントラルの「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」は、コンテンツの自己評価のための質問群を示している。その「コンテンツと品質に関する質問」には、「コンテンツは、独自の情報、レポート、研究、分析を提供していますか」という項目がある。また、「コンテンツが他のソースを参考にしたものである場合は、単なるコピーや書き換えではなく、付加価値とオリジナリティを十分に示すものですか」という項目も並ぶ(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。

同じ文書の「ユーザー第一のコンテンツに焦点を当てる」という節には、「コンテンツは、実体験や深い知識(たとえば、実際に商品やサービスを使用したり、ある場所を訪れたりした経験に基づく特別な知識)を明確に示していますか」という質問がある(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。ここで求められているのは、情報の出どころが書き手自身の経験や調査にあることであり、他者の記事の寄せ集めではないことである。本記事で扱う業務データの集計、アンケート、取材、実測・検証は、いずれもこの自己評価の問いに答えるための具体的な手段として位置づけられる。

さらに、同文書はコンテンツに関する「誰が、どのように、なぜ」という観点を示し、「どのように」の例として、商品レビューにおいてテストした商品数、テストの結果、テストの実施方法を、証拠となる写真などとともに示すことを挙げている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。方法と条件を示すことは、読者の信頼を得るための作法として、公式文書の側でも具体的に述べられているのである。

注意点として、同文書の自己評価項目は、順位を保証する条件の一覧ではない。Googleは、自動ランキングシステムがユーザーにメリットをもたらすことを目的として作成された有用で信頼できる情報を上位に掲載できるように設計されていると説明しているにとどまる(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。一次情報は、読者にとっての有用性を高めるための手段として扱うべきであり、順位への効果を断定する根拠にはならない。

E-E-A-Tにおける「経験」の位置づけ

一次情報と関わりが深い概念に、E-E-A-Tの「経験」がある。E-E-A-Tは、エクスペリエンス(Experience、経験)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の頭文字を並べたものである。Google検索セントラルブログは、2022年12月15日に、従来のE-A-Tに経験のEを追加したと発表した。その説明によれば、実際に製品を使用している、実際にその場所を訪問している、誰かが経験したことを伝えているなど、コンテンツにある程度の経験が織り込まれているかどうかも評価される(出典:Google検索セントラルブログ「品質評価ガイドラインの最新情報:E-A-TにExperienceのEを追加」)。

位置づけを正確に押さえる必要がある。同ブログは、検索品質評価ガイドラインはGoogleのさまざまな検索ランキングシステムのパフォーマンスを検索評価者が評価するために使用するものであり、ランキングに直接影響することはないと明記している(出典:Google検索セントラルブログ「品質評価ガイドラインの最新情報:E-A-TにExperienceのEを追加」)。また、「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」は、E-E-A-T自体はランキングに直接影響する要因ではないとし、中でも信頼性が最も重要であると述べている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。したがって、「経験」を示す記述を入れれば順位が上がるという理解は、原典の記述とは異なる。経験に基づく一次情報は、信頼性を支える要素の1つとして、正確に、条件を添えて示すことが求められる。

一次情報の作り方:4つの方法

自社で生み出せる一次情報は、大きく4つに分けられる。業務データの集計、顧客・読者へのアンケート、現場への取材、自社での実測・検証である。それぞれ、向いている題材と必要な手間が異なるため、記事の目的に応じて選ぶ。

方法得られる一次情報主な手間
業務データの集計件数、割合、所要時間、推移などの数値記録の定義統一と集計
アンケート顧客や読者の意識、選択理由、困りごと質問設計、配布、回収、集計
取材現場の手順、判断基準、失敗と対処の経緯依頼、聞き取り、原稿確認
実測・検証手順どおりに行った結果、比較の数値条件設定、実施、記録

1. 自社の業務データを集計する

手順は次のとおりである。第1に、集計の目的と問いを決める。「何件あったか」ではなく、「どの工程で、どの種類の依頼が増えているか」のように、記事で答えたい問いを先に置く。第2に、対象とする記録の範囲を決める。対象期間、対象とする事業所やサービス、除外する記録の条件を文書化する。第3に、数え方の定義を統一する。たとえば、同じ顧客からの再連絡を1件と数えるか複数件と数えるかで結果は変わるため、定義を集計前に固定する。第4に、集計結果を元の記録と照合し、桁の誤りや重複を除く。第5に、結果とともに、定義と除外条件を記事用のメモとして残す。

記事に載せるときは、対象、期間、母数、方法を本文中または図表の注記に添える。作例として示すと、「作例:2025年4月から9月までの問い合わせ記録1,240件を、内容別に分類した」という形になる。これは書き方の例示であり、実在の集計結果ではない。割合を示す場合は、分母が何であるかを必ず併記する。分母の異なる割合を並べて比較する書き方は避ける。

2. 顧客・読者へアンケートを行う

アンケートは、自社に記録として残っていない意識や理由を集める方法である。手順は、目的の設定、質問の設計、対象者の選定、実施、集計の順に進める。質問は、回答者が実際に答えられる範囲に絞る。知らないことを推測で答えさせる質問は、結果の信頼性を下げる。選択肢には「分からない」「該当しない」を用意し、自由記述欄は具体的な場面を尋ねる形にする。実施前には、社内の少人数で試しに回答し、意味の取り違えが起きる質問がないかを確認する。

記事に載せるときの条件は、実施期間、配布方法、対象者の属性、回答数、有効回答の扱いである。作例として示すと、「作例:自社サービスの利用者にメールで協力を依頼し、回答数86件、実施期間は2週間」という形になる。これも例示であり、実在の調査ではない。回答数が少ない場合は、その旨を本文に明記し、全体の傾向であるかのような書き方をしない。特定の属性に偏った回答である場合は、偏りの内容も添える。割合の数字だけを切り取って見出しに置くことは避ける。

3. 現場へ取材する

取材は、数字には表れない判断の過程を一次情報にする方法である。対象は、自社の現場担当者、協力会社の担当者、顧客など、主題について直接の経験を持つ人である。手順は、聞きたい論点の整理、取材の依頼と目的の説明、聞き取り、記録の整理、掲載前の確認の順である。依頼の段階で、媒体名、記事の主題、掲載の範囲、確認の手順を伝える。聞き取りでは、一般論ではなく、具体的な場面を尋ねる。「通常はどうするか」ではなく、「直近の事例では何を見て、どう判断したか」を聞くことで、他の記事にはない情報が得られる。

記事に載せるときは、取材対象者の属性と立場、取材日、取材方法を添える。氏名や所属を出すかどうかは、相手の承諾の範囲に従う。発言の引用は、意味を変えない範囲で整えることはあっても、発言していない内容を付け加えてはならない。原稿は掲載前に相手に確認を取り、事実関係の誤りと、公開を望まない情報が含まれていないかを確かめる。この確認を省略すると、誤記だけでなく、相手との信頼関係そのものを損なう。

4. 自社で実測・検証する

実測・検証は、手順や製品、方法について、自社で実際に行った結果を示す方法である。手順は、検証する問いと条件の設定、実施、記録、再現性の確認の順である。条件には、使用した機器や材料、環境、実施回数、実施した担当者の条件を含める。結果が条件に依存する場合は、条件を変えた場合の結果が異なる可能性も本文に書く。都合の良い回の結果だけを採用せず、実施したすべての回の結果を記録し、その全体から結論を述べる。

記事に載せるときは、実施日または実施期間、条件、回数、測定方法を添え、可能であれば実施の様子を示す写真や記録の一部を併載する。前述のとおり、Googleの公式文書も、テストした数、結果、実施方法を証拠とともに示すことを、信頼を得る方法の例として挙げている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。数値が公的な規格や他社の公表値と異なる場合は、その差を隠さず、自社の条件ではこの結果であったという範囲で記述する。

条件の書き方:対象・期間・母数・方法を添える

4つの方法に共通する原則は、一次情報には必ず条件を添えることである。最低限必要なのは、対象(何についての情報か、誰から得たか)、期間(いつ集めたか)、母数(何件、何人、何回か)、方法(どのように集め、数えたか)の4点である。この4点が欠けた数字は、読者が検証も比較もできない。逆に、この4点が添えられた数字は、規模が小さくても、範囲の限定された事実として読むことができる。

条件は、本文の流れを妨げない形で添える工夫が要る。図表の下に注記としてまとめる、方法の節を分けて書く、調査概要として枠で示すといった方法がある。いずれの形でも、数字が登場する場所から離れすぎない位置に置くことが望ましい。条件を記事の末尾にだけ置くと、数字だけが切り取られて広まるおそれがあるためである。

守るべき点:数字を盛らない、切り取らない、許可なく出さない

一次情報は、作り手が条件を決める情報であるからこそ、扱いを誤ると信頼を失う。守るべき点は次のとおりである。第1に、数字を盛らない。四捨五入や概数の表現は、元の数字から読者が誤解しない範囲にとどめ、有利に見せるための切り上げや単位の変更は行わない。第2に、都合の良い部分だけを切り取らない。期間の一部、回答の一部の属性だけを取り出すと、全体の傾向と異なる印象を与える。全体の結果を示したうえで、一部に触れる場合は、その位置づけを明記する。第3に、許可のない顧客情報を出さない。顧客の名称、発言、事例は、本人の承諾を得た範囲でのみ掲載する。承諾が得られない場合は、個人や企業が特定されない形に加工するか、掲載自体を見送る。第4に、母数が小さい場合はその旨を明記する。小さい母数から得た割合は、1件の増減で大きく動く。その不安定さを読者に伝えることが、数字の正確な扱いである。第5に、取材相手には掲載前の確認を取る。事実確認の機会を相手に保障することは、誤りを防ぐ工程であると同時に、取材という行為の前提条件である。

これらに加えて、作例と実在の情報を混同させないことも重要である。手順の説明のために架空の数字を用いる場合は、本記事がそうしているように、作例であることを明示する。実在しないアンケート結果や統計を、実在のものとして記事に書くことは、読者を欺く行為であり、一次情報を扱う資格そのものを失わせる。

まとめ:一次情報は、条件とともに示して初めて情報になる

一次情報とは、自社が直接集めたデータ、直接聞いた話、直接行った測定や検証の結果であり、Googleの自己評価項目が求める「独自の情報」や「実体験」に応える材料になる。作り方は、業務データの集計、アンケート、取材、実測・検証の4つが基本であり、いずれも対象、期間、母数、方法という条件を添えて記事に載せることが前提である。数字を盛らず、都合の良い部分だけを切り取らず、許可のない情報を出さず、母数の小ささを隠さず、取材相手の確認を取る。この制約を守る範囲で積み重ねた一次情報は、他社の記事の寄せ集めではない、自社だけが書ける記事の核になる。

なお、本記事を公開しているキジカルテは、SEO記事の制作と分析を扱うサービスであり、記事の題材ごとに自社で確かめられる一次情報を工程の中で用意し、出典と条件を確認したうえで公開することを工程の前提としている。サービス内容の詳細はサイト内の案内を参照されたい。

出典

  • Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
  • Google検索セントラルブログ「品質評価ガイドラインの最新情報:E-A-TにExperienceのEを追加」(2022年12月15日)