記事を公開したあと、検索順位が気になって毎日確かめてしまう。昨日より下がったから直すべきか、もう少し待つべきか。この判断に迷うのは、見るべき数字と、見るべき間隔が決まっていないことが原因であることが多い。
公開後の運用で大切なのは、順位という1つの数字に反応することではない。表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位の4つを組み合わせ、決めた間隔で定点観測し、いつ何を変えたかの記録と並べて読むことである。そうすれば、日々の小さな変動に振り回されず、次に何を確認すべきかも見えやすくなる。
本記事では、計測と観測の設計に絞って整理する。どの記事から手をつけるかという選定の話には深入りせず、公開した記事をどう見守り、数字をどう読み、変更の結論をいつ出すかという観測の作法をまとめる。
計測は順位単体で見ない|4つの指標を組み合わせる
公開後の計測の中心になるのは、Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートである。同レポートでは、Google検索の検索結果におけるサイトのパフォーマンスとして、次の4つの指標が示される(出典:Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。
| 指標 | 公式の定義 | 読むときに分かること |
|---|---|---|
| クリック数 | ユーザーがGoogle検索の検索結果からサイトをクリックした回数 | 検索結果から実際に訪れた人がどれだけいたか |
| 表示回数 | サイトが検索結果に表示された回数 | そもそも検索結果に現れているかどうか |
| CTR | クリック数を表示回数で割った値 | 表示されたうち、どれだけがクリックにつながったか |
| 平均掲載順位 | 検索結果におけるサイトの最上位の平均掲載順位 | 表示された位置のおおよその水準と、その推移 |
この4つは、順番に連なっている。まず表示されなければクリックは生まれない。表示されても位置や見え方によってクリック率は変わる。したがって、順位だけが動いたのか、表示回数から動いたのか、表示はあるのにクリックが伸びていないのかを分けて読む必要がある。たとえば平均掲載順位が下がった場合でも、表示回数が増えていれば、新しいクエリでも表示されるようになり、平均が押し下げられただけという場合がある。逆に、順位が横ばいでもクリック数が減っていれば、需要そのものや検索結果の見え方が変わった可能性を確認することになる。
もう1つ押さえておきたいのは、集計の単位である。同レポートのグラフはプロパティごとに集計され、表は選んだディメンションによって集計方法が異なるため、グラフの合計と表の合計が一致しない場合があると説明されている(出典:同上)。記事単位で見るのか、クエリ単位で見るのか、サイト全体で見るのかを決めずに数字を比べると、集計方法の違いを変化と誤読しかねない。観測を始める前に、対象のページ、対象のクエリ、比較する期間を固定しておくことが、計測の前提になる。
平均掲載順位の正しい読み方
4つの指標の中で、とくに誤解されやすいのが平均掲載順位である。名前の印象から「いま何位にいるか」を示す数字だと思われがちだが、公式の定義は異なる。
Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」によれば、パフォーマンスレポートに表示される掲載順位の値は、検索結果内のプロパティまたはページへのリンクに付与される最上位の掲載順位であり、そのプロパティが表示されるすべてのクエリでの平均である。例も示されている。あるクエリで掲載順位が2位、4位、6位なら最上位の2位として数え、別のクエリで3位、5位、9位なら3位として数え、2つのクエリの平均掲載順位は(2+3)÷2=2.5になる(出典:Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
ここから読み取れる注意点は3つある。第1に、これは平均値である。すべての表示について掲載順位の平均をとったものであり、リンクの掲載順位は表示されるたびに変わると同ヘルプは説明している。第2に、自分で検索して目にした順位と一致するとは限らない。同ヘルプは、レポートでは5位なのに実際の検索では8位になることがあるとし、その理由として、掲載順位値はすべての検索の平均値であり、検索履歴や場所などの多くの変数によって平均と異なる場合があることを挙げている。第3に、数字の絶対値だけで判断すべきではないという点である。同ヘルプは、掲載順位値が何を意味するかは状況によって変化するため、絶対値に加えて時系列での変動、とくに突然の変動を把握することを勧めている。
実務での扱いは、したがって次のようになる。平均掲載順位は「現在の順位の確定値」ではなく「ある期間に、ある範囲のクエリで表示された位置の平均」として読む。見るのは1日の値ではなく期間を区切った推移であり、動いたときはクエリの内訳が変わっていないかを先に確かめる。表示されるクエリが増減すれば、個々のクエリの順位が変わらなくても平均は動くからである。手作業で検索して目にした順位とレポートの数字が違っても、それ自体は異常ではない。
計測の頻度|日々の変動に反応せず、定点で見る
計測の頻度は、多くすればよいというものではない。日ごとの数字は曜日や祝日などの影響を受けて上下し、そのたびに記事へ手を入れると、どの変更がどの変化につながったのかが分からなくなる。検索パフォーマンスレポートでも、時間の粒度として1週間ごとや1月ごとを選ぶことで、1日単位の変動を平滑化して長期的な傾向を分析できると案内されている(出典:Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。
実務の組み立てとしては、週次と月次の2層が扱いやすい。週次では、対象ページの表示回数とクリック数に突然の変化がないかを確認する程度にとどめる。月次では、期間をそろえて前月や前期間と比較し、クエリの内訳、デバイス別の違い、対象ページごとの推移まで掘り下げる。日次で見るのは、公開直後に表示自体が始まっているか、技術的な問題で急に表示が消えていないかといった異常の有無に限る、という線引きである。
比較の作法も決めておきたい。比較する2つの期間は、長さをそろえ、曜日構成が大きくずれないようにする。最新のデータは暫定値の可能性があり、その後変動する場合があると同レポートのヘルプに記されているため、締めたばかりの期間の数字で結論を出さないことも大切である。見る曜日と見る範囲を固定する定点観測にしておけば、「先週見た数字と条件が違う」という混乱を減らせる。
施策の記録|いつ何を変えたかと数字を並べる
定点観測と同じくらい重要なのが、施策の記録である。記事のタイトルを変えた、本文に節を足した、内部リンクを張り替えた。こうした変更の記録がなければ、数字が動いたときに、その理由を後から検証できない。記憶に頼ると、変更した日付も、変更の範囲もあいまいになる。
記録は複雑なものでなくてよい。最低限、次の項目が1行に並んでいれば足りる。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 日付 | 変更を公開した日 |
| 対象 | ページのURLと、対象とする主なクエリ |
| 変更内容 | 何を、どの範囲で変えたか |
| 変更の理由 | どの数字の、どのパターンを見て判断したか |
| 確認予定日 | 次に数字を評価する日(保留期間の終わり) |
この記録と定点観測の数字を並べて読むことで、初めて「変更の前後で何が変わったか」を語れるようになる。逆に、記録のない変更は評価できない変更であり、評価できない変更を重ねると、サイト全体の状態も説明できなくなる。1回の変更では1つの論点に絞り、同時に複数の箇所を大きく変えないことも、記録を読みやすく保つための工夫である。
変更後に結論を急がない|保留期間の考え方
変更を公開したら、すぐに効果を判定したくなる。しかし、検索側への反映には時間がかかる。Google検索セントラルの「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」は、変更した結果がGoogle側に反映されるまでにはある程度の時間がかかり、数時間かかる変更もあれば数か月かかる変更もあると説明している。そのうえで、一般的には数週間待ってから、Google検索の検索結果に良い影響があったかどうかを確認することを勧めている。また、変更しても目に見える変化が現れるとは限らないとも明記されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。
この公式の目安を、運用では「保留期間」として先に決めておく。たとえば変更の種類ごとに、評価する日を確認予定日として記録に書き込み、その日までは同じページへ次の変更を重ねない。保留期間中に数字が悪く見えても、それは反映の途中かもしれないし、日々の変動の範囲かもしれない。期間の途中で慌てて元に戻したり、別の変更を上書きしたりすると、結局どの変更の結果も読み取れなくなる。
保留期間の長さに一律の正解はない。タイトルのような検索結果の見え方に関わる変更と、本文の構成を大きく組み替える変更とでは、様子を見るべき幅は異なる。大切なのは、変更の前に期間を決め、決めた期間は守り、期間が終わった時点で、変更前と長さをそろえた期間同士を比較して判断することである。変化が見られないという結果も、1つの観測結果である。次の手を打つかどうかは、その結果を記録したうえで決める。
数字のパターンと、次に確認すること
定点観測で数字を読むときは、パターンごとに「次に何を確認するか」を決めておくと判断がぶれにくい。以下は、代表的なパターンと確認事項の対応である。いずれも、パターンだけで原因が確定するわけではない。打ち手の前に確認を置くための整理として使いたい。
| 数字のパターン | 考えられる状況 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 表示回数はあるが、クリック数が少ない | 表示はされているが、検索結果で選ばれていない可能性がある | クエリと記事の内容がずれていないか、タイトルリンクとスニペットの見え方、表示されているクエリの内訳 |
| 平均掲載順位が中位で長く停滞している | 一定の表示はあるが、位置が動きにくい状態にある | 対象クエリで上位に表示されるページの内容と自記事との差分、記事が答えていない疑問の有無 |
| 表示回数自体がない、または急に消えた | インデックス登録や表示の前提に問題が生じている可能性がある | インデックス登録の状態、URLの誤りや移転の有無、サイト側の変更履歴との照合 |
| 表示回数が増えたのに、平均掲載順位が下がった | 新しいクエリでも表示され始め、平均が押し下げられた可能性がある | クエリ別の表示回数と順位の内訳。主要クエリの順位が実際に下がっているかどうか |
| クリック数が大きく減ったが、順位は大きく変わらない | 検索需要の変動や、検索結果の見え方の変化が関係している可能性がある | 期間の需要変動、検索タイプ別・デバイス別の内訳、表示回数も同時に減っていないか |
共通するのは、いきなり本文を大きく書き換える前に、クエリ別、ページ別、検索タイプ別といった切り分けを行うことである。サイト全体の平均だけを見ていると、どのページの、どのクエリで起きた変化なのかが見えない。切り分けた結果、確認すべき対象が技術的な前提の問題なのか、内容の問題なのか、需要の問題なのかによって、次に取る行動はまったく異なる。
コアアップデートのときに慌てて動かない手順
数字の大きな変動があったとき、もう1つ確かめるべきなのが、Googleのコアアップデートとの重なりである。Googleは年に数回、検索アルゴリズムとシステムに重要かつ大規模な変更を加えており、これをコアアップデートと呼んでいる。これらの変更は広範囲にわたるもので、特定のサイトや個々のウェブページを対象とするものではないと公式ドキュメントは説明している(出典:Google検索セントラル「Google検索のコアアップデートとウェブサイト」)。
同ドキュメントが示す確認の手順は、慌てて動かないための手順としても使える。整理すると次のとおりである。
- 検索ステータスダッシュボードで、コアアップデートのロールアウトが完了したことを確認し、開始日と終了日を記録する
- 完了後1週間以上待ってから、ロールアウト開始前の1週間と現在の週を比較する
- 上位のページとクエリを確認し、順位の低下幅が小さいか大きいかを分けて考える。公式の例では、2位から4位への低下のような小さい低下では抜本的な対策は不要とされ、4位から29位への低下のような大きい低下では、より詳細な評価を行うとされている
- ウェブ検索、画像検索、動画、ニュースタブなど、異なる検索タイプを個別に分析する
変更を加える際の注意も、同ドキュメントは明確にしている。うわさに基づく「その場しのぎの修正」は避け、ユーザーにとって意味があり、長期的に持続可能な変更に焦点を当てること。コンテンツの削除は最終手段とすることである。また、改善の効果が検索結果に現れるまでには、数日で済む場合もあれば数か月かかる場合もあり、場合によっては次のコアアップデートまで待つ必要があるとされている。アップデートの最中に記事を次々と書き換えると、自社の変更とアップデートの影響が混ざり、どちらの結果も読めなくなる。まず完了を待ち、期間をそろえて比べ、低下幅の大小で対応の深さを分ける。この順序を守ることが、アップデート時の実務である。
まとめ:観測の設計が、改善の判断を支える
公開後の計測と改善サイクルは、次の設計で成り立つ。見る数字は順位単体ではなく、表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位の組み合わせにする。平均掲載順位は、すべてのクエリでの最上位の順位の平均であり、表示のたびに変動するものとして読む。頻度は日々ではなく週次と月次の定点にし、比較する期間の長さと条件をそろえる。変更は日付、対象、内容、理由、確認予定日を記録し、数字と並べて読む。変更後は、反映に数週間から数か月かかる場合があることを前提に保留期間を置き、期間が終わるまで結論を出さない。大きな変動のときは、コアアップデートの完了を確認し、公式の手順に沿って切り分ける。
この設計があると、数字が動くたびに記事を直す運用から、観測して、記録して、時期を決めて判断する運用へ移ることができる。順位の計測とは、数字を集めることではなく、判断の材料がそろうように観測を設計することである。
なお、本記事を公開しているキジカルテは、SEO記事の制作と分析を扱うサービスであり、公開後の測定と記録を含む工程を設計の前提としている。具体的な支援内容は、サイト内の案内を参照されたい。
出典
- Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」
- Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」
- Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」
- Google検索セントラル「Google検索のコアアップデートとウェブサイト」