記事が増えてくると、次に何をすべきかで迷いやすくなる。新規記事を書き足すほうが前に進んでいる感覚はあるが、すでに検索結果に表示されている記事の中に、内容の古さや検索意図とのずれを抱えたものがあるなら、先に手をつけるべきはそちらであることが多い。
問題は、どの記事から直すかを感覚で決めてしまうことである。気になった順に直す進め方では、優先度が低い記事や、直すのではなく統合や削除が適切な記事に時間をかけてしまう。本記事では、対象の選定と優先順位に絞り、データで候補を出し、仕分けし、順番を決めるまでの手順を整理する。
新規作成より既存記事の見直しが先になる場面
新規作成とリライトは、どちらが常に正しいという話ではない。扱うべきテーマ自体が不足している段階では新規作成が中心になるが、ある程度の本数が公開され、検索結果に表示される記事が出てきている段階では、見直しを先にする理由が生まれる。
Google検索セントラルのSEOスターターガイドでも、「コンテンツが最新」であることについて、公開済みのコンテンツを確認し、必要なら更新し、的外れになったら削除することが示されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。
見直しが先になりやすいのは、同じテーマで複数の記事が重なっているとき、公開から時間がたち料金、制度、手順、仕様など記事の前提が変わっている可能性があるとき、検索結果には表示されているのに内容が検索の疑問に答えきれていないように見えるときである。こうした記事を放置したまま新規記事を増やすと、古い情報や重複も一緒に増えていく。逆に、表示回数自体がほとんどない記事は、需要がないのか、サイト内で埋もれているのか、別の記事と役割が重なっているのかを先に分ける必要がある。データが薄い記事をいきなり書き直しても判断材料が足りないため、まずはデータが取れている記事から候補を出すことが前提になる。
判断の材料になるデータの出し方
Search Consoleのパフォーマンスレポートで見る
対象選定の主材料は、Search Consoleの検索パフォーマンスレポートである。このレポートでは、Google検索の検索結果におけるサイトのパフォーマンスに関する指標が表示され、トラフィックを集めているクエリの把握や、クリック率が高いページと低いページの特定などに活用できると説明されている(出典:Search Consoleヘルプ「パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」)。
出し方は大きく2通りある。1つはページ別に見る方法で、ディメンションをページに切り替え、記事ごとのクリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位を一覧にする。候補の全体像はここでつかむ。もう1つはクエリ別に見る方法で、特定のページがどのようなクエリで表示されているかを確認する。クエリを重ねて見ることで、読者が何を知りたくて検索しているのか、記事の内容とずれていないかが見えてくる。期間は直近の短い期間だけで判断せず、ある程度まとまった期間で一覧を出すほうが、偶然の上下に引きずられにくい。
4つの指標の定義を確認する
数字を並べる前に、指標の定義を公式の説明どおりに押さえておく必要がある。
| 指標 | 公式の定義 | 選定で見るポイント |
|---|---|---|
| クリック数 | ユーザーがGoogle検索の検索結果をクリックしてサイトに移動した回数 | 実際に訪問につながっている規模 |
| 表示回数 | Google検索結果に表示されたサイトへのリンクの数 | 検索結果に現れている規模 |
| CTR(クリック率) | クリック数を表示回数で割った値 | 表示のうちクリックにつながった割合 |
| 平均掲載順位 | 検索結果におけるサイトの最上位の平均掲載順位 | 表示位置のおおよその水準 |
定義はSearch Consoleヘルプに基づく(出典:Search Consoleヘルプ「パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」、同「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。特に平均掲載順位は誤解されやすい。この値は、サイトへのリンクに付与される最上位の掲載順位を、すべてのクエリで平均したものである。同じページでも、検索する場所、時間、デバイス、履歴などによって実際の位置は変わりうるため、レポートの数字は「常にその順位にいる」という意味ではない。順位の絶対値だけを見ず、表示回数やCTRと組み合わせて読み、同じディメンション、同じ期間で出した一覧の中で比べることを基本にする。
対象の仕分け方|4つの型
一覧が出たら、眺めて順に直すのではなく、型に分けて仕分ける。代表的なのは次の4つである。
1. 順位は中位だが表示回数が多い記事
平均掲載順位が上位に入りきっておらず、それでいて表示回数が多い記事である。検索する人は一定数いるのに、記事が受け皿になりきれていない状態と読める。実務上の目安として、平均掲載順位がおおむね8位から20位前後にあり、表示回数がサイト内で相対的に多い記事は、この型の候補になりやすい。ただしこの順位帯はGoogle公式の基準ではなく、候補を拾うための実務上の目安であり、テーマや競合状況によって意味は変わる。この型では、紐づくクエリを見て、読者の疑問に十分に答えているか、必要な情報が抜けていないか、古い記述が混ざっていないかを点検する。表示回数が多い分、不足やずれの影響も大きいため、優先候補に入りやすい。
2. 表示されるのにCTRが低い記事
表示回数はあるのに、CTRが他の記事と比べて低い記事である。タイトルや説明の段階で選ばれていないか、順位の位置の影響でクリックにつながっていない可能性がある。ここでCTRの低さだけを見て「タイトルが悪い」と即断しないことが重要である。平均掲載順位が低ければCTRも低くなりやすく、クエリの種類によっても水準は変わるため、同程度の順位帯、同程度の表示回数を持つ記事同士で比べることが前提になる。そのうえで、タイトルが内容を正確に表しているかを確認する。SEOスターターガイドでも、タイトルリンクは、そのページに固有で、明確かつ簡潔であり、内容を正確に説明しているものがよいとされている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。
3. 情報が古くなった記事
数字の動きとは別に、内容の鮮度で仕分ける型である。料金や費用の目安、制度の期限や条件、手続きの手順、サービスの仕様、統計の年次などが変わっている記事は、たとえクリック数が安定していても見直しの対象になる。読者にとっては、順位やCTR以前に、事実が今も正しいかどうかが問題になるためである。Google検索セントラルの「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」でも、自己評価として、明らかな事実誤認がないかなどが問われている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。点検では、主張を1つずつ一次情報に当て直すことが欠かせない。日付だけを新しいものに変える作業はリライトではない。同ページでも、実質的に変更していないのにページを新しく見せるために日付だけを変更する行為は、見直すべき進め方として挙げられている。
4. 検索意図と内容がずれた記事
クエリ別に見たときに表れる型である。たとえば、費用を知りたいクエリで表示されているのに記事の中心が選び方の一般論になっていたり、手順を知りたいクエリで表示されているのに手順の説明がなかったりする場合がこれにあたる。クエリと本文を並べて初めて分かるずれである。この型では、クエリの言葉そのものを本文に足すことが目的ではない。読者が何を解決しようとしているのかを考え、記事が十分な情報を提供しているかを見る。同じく「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」では、読み終えた人が目的を果たすのに十分な情報を得たと感じられるか、といった問いが自己評価として示されている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。ずれが大きい場合、部分的な追記ではなく、構成そのものの作り直しが必要になることもある。
直さずに統合・削除する判断も選択肢である
仕分けの結果、すべての記事をリライトで残す必要はない。SEOスターターガイドが「必要なら更新し、的外れになったら削除する」と示すように、統合と削除も選択肢である(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。
統合を考えるのは、同じテーマを扱う記事が複数あり、検索意図も読者も重なっている場合である。情報を1本に集約し、重複を解消したほうが読者にとっても分かりやすくなることがある。その際、使わなくなるURLについては、最もふさわしいURLへのリダイレクトを設定することが同ガイドでも案内されている。削除を考えるのは、テーマ自体が現在の事業やサイトの目的と合わなくなった場合、情報の前提が失われて更新のしようがない場合などである。ただし、表示回数が少ないだけで急いで削除しないほうがよい。他の記事からリンクされているか、事業上残す意味があるかを確認し、理由を記録に残しておく。
優先順位の付け方|改善の余地と需要の大きさで決める
候補が仕分けできたら、次は着手順を決める。考え方は、「改善の余地」と「需要の大きさ」の2軸で見ることである。需要の大きさは主に表示回数で判断する。改善の余地は型によって読み替える。中位順位の記事なら上位との差と内容の不足分、低CTRの記事なら同条件の記事とのCTRの差、古い記事なら事実の古さの程度と読者への影響、意図がずれた記事ならクエリと本文のずれの大きさである。
| 需要(表示回数) | 改善の余地 | 扱い |
|---|---|---|
| 大きい | 大きい | 最優先。少数に絞って丁寧に直す |
| 大きい | 小さい | 現状維持を基本とし、事実の古さだけは別途点検する |
| 小さい | 大きい | 統合・削除の検討対象にする。単独リライトは後回しにする |
| 小さい | 小さい | 着手しない。データをためてから再判定する |
ここで大切なのは、スコアを精密に作り込むことではない。大まかな2軸で「最優先の数本」と「今は触らないもの」を分けることである。多くを選ぶと1本ごとの点検が浅くなるため、最優先のグループから数本だけを選ぶ。古い情報の記事については、数字上の優先度が低く見えても、事実誤認が読者の判断に影響する分野では順番を繰り上げる判断がありうる。
リライトで実際に変えるもの
優先順位が決まったら、実際の書き直しに入る。ここで避けたいのは、タイトルだけを変えてリライトとすることである。クリックした先の内容がクエリの疑問に答えていなければ、読者の目的は果たされない。変えるべき箇所は、少なくとも次の範囲で点検する。
- 検索意図への対応:主要なクエリで読者が知りたいことに、記事の中心で答えているか。不足している論点を足し、意図から外れた部分は削るか、別の記事へ移す
- 事実の更新:数字、日付、制度、料金、手順などを一次情報で確認し直す。確認できない主張は、表現を弱めるか削除する
- 構成と見出し:読者の疑問の順番に沿って見出しを並べ替える。重複した説明はまとめ、埋もれている重要情報は前のほうへ出す
- タイトルと説明:内容を正確に表し、本文と食い違わないものにする
- サイト内のつながり:関連記事同士のリンクを見直し、統合した場合は旧記事からの導線を新しい記事へつなぎ直す
- 独自の情報の追加:自社にしか分からない手順、判断の基準、よく寄せられる質問への答えなど、焼き直しではない情報を足せるか検討する
「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」では、他のソースを参考にする場合でも、単なるコピーや書き換えではなく、付加価値とオリジナリティを十分に示すものかどうかが問われている(出典:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」)。リライトは言い換え作業ではない。何が不足し、何が古く、何がずれているのかを先に特定し、その箇所を直す作業である。
実施後の記録と観測期間
リライトをしたら、実施した内容を記録に残す。記録がないと、後から数字が動いても何を変えた結果なのかが分からなくなる。最低限残したいのは、次の項目である。
- 対象記事のURLと、実施日
- 仕分けした型と、判断の根拠になったデータ(期間、表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位、主要なクエリ)
- 実際に変えた箇所(タイトルの変更、追記した論点、更新した事実、統合や削除の扱いなど)
- 統合・削除を行った場合は、その理由とリダイレクトの有無
観測期間については、変更直後の数字だけで判断しないことが前提になる。SEOスターターガイドでも、変更した結果がGoogle側に反映されるまでにはある程度の時間がかかり、一般的には数週間待ってから、検索結果に良い影響があったかどうかを確認することが推奨されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。同ガイドは、変更しても目に見える変化が現れるとは限らないとも述べている。本記事の範囲では、観測は「数週間という単位で、変更前と同じ物差しで数字を見直す」程度にとどめ、変更内容の記録とセットで数字を見ることを重視する。
避けたい進め方
最後に、避けたい進め方を2つ挙げる。1つ目は、全記事を一斉に直すことである。一斉に直すと1本ごとの点検が浅くなるうえ、後から数字が動いても、どの変更が関係したのかを切り分けられなくなる。少数ずつ区切って実施し、記録を残しながら進めることが判断の精度を保つ。2つ目は、URLを安易に変えることである。URLは既存のリンクやブックマーク、サイト内の導線と結びついている。内容の見直しだけで済むのであれば、URLは変えないことが基本になる。どうしても変える場合は、旧URLから新URLへのリダイレクトなど、移転の扱いを同時に設計する。SEOスターターガイドでも、重複した内容を整理する文脈で、使わないURLから最もふさわしいURLへのリダイレクトの設定が案内されている(出典:Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」)。公開日だけを新しくすることなど、体裁だけを変える作業もリライトには含めない。
まとめ:直す記事は、データで選び、少数から手をつける
既存記事のリライトで最初に決めるべきは、書き方ではなく対象と順番である。Search Consoleのパフォーマンスレポートでページ別とクエリ別の数字を出し、クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位の定義を押さえたうえで比べる。候補は、中位だが表示回数が多い記事、表示されるのにCTRが低い記事、情報が古くなった記事、検索意図と内容がずれた記事の4つの型で仕分ける。結果によっては、直さずに統合や削除を選ぶこともある。着手順は、改善の余地と需要の大きさの2軸で決め、最優先の数本に絞る。実際のリライトではタイトルだけでなく、意図への対応、事実の更新、構成、サイト内のつながりまでを点検し、実施日と変更内容を記録に残して、数週間という単位で数字を見直す。
なお、本記事を公開しているキジカルテは、SEO記事の制作と分析を扱うサービスであり、既存記事の棚卸しと優先順位付けを含む分析を工程の一部としている。
出典
- Search Consoleヘルプ「パフォーマンスレポート(検索結果):概要と基本設定」 https://support.google.com/webmasters/answer/7576553/?hl=ja
- Search Consoleヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」 https://support.google.com/webmasters/answer/7042828?hl=ja
- Google検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」 https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide?hl=ja
- Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」 https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content?hl=ja